診療内容
小児アレルギー科
アレルギーは、症状を引き起こすアレルゲンを突き止め、適切な治療や予防を行うことが大切です。
アレルギー検査
食物アレルギーの原因を調べるために血液検査や皮膚プリックテストを行います。
また食物アレルギーの診断のために、食物経口負荷試験を行っています。
ただ、明らかなアレルギーの原因がわかりにくい場合は、スクリーニング検査として、当院では48種類のアレルゲンを調べることができる血液検査(MAST48)を実施しています。
血液検査(MAST48)
当院では48種類のアレルギーが調べられるMAST48というアレルギー検査ができます。
少量の血液(血清0.5ml)で検査ができます。
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、じんましん、アトピー性皮膚炎の症状がある方は、原因となるアレルゲンを調べることで、日常生活での対策を考えることができます。
食物経口負荷試験
食物経口負荷試験は、クリニック内の専用のお部屋で、アレルゲンと考えられる食べ物を実際にクリニックで医師の管理のもとに少しずつ食べて、食べても症状が出ない量はどれくらいかを調べる検査です。
血液検査だけでは食物アレルギーはわからない
「子どもにどんなアレルギーがあるのか、血液検査で知っておきたい」というご相談をよくいただきます。ただ血液検査の結果は食物アレルギーがあるかどうかの参考にはなりますが、確定診断はできません。たとえ数値がとても高く出ていた場合であっても、食べられる可能性があります。そのため、血液検査の結果と実際に症状が出現した食品の量を参考に食物経口負荷試験を実施することが大切です。
食物アレルギー
食物アレルギーとは、本来は体に害を起こさない食品を異物と勘違いし、免疫反応が過剰に働くことで様々な症状がおこる現象です。
アレルギー症状として、じんましん、咳、ゼーゼー、鼻、吐く、お腹が痛くなる、下痢などがあり、時にはアナフィラキシーやアナフィラキシーショックという生命を脅かす危険な状態になります。
離乳食がはじまる1歳未満くらいから食物アレルギーを発症することが多く、特に鶏卵、牛乳、小麦などが原因となります。
最近は、木の実類(クルミ、カシューナッツなど)が増加してきており、生活環境の変化に伴い原因食品は日々、変化しております。
鶏卵、牛乳、小麦などは年齢とともに自然に治っていくことが多いですが、中には自然には治りにくい食品もあります。
食物アレルギーは、昔は完全除去をすることで誤食を防ぐ診療が主流でしたが、今は必要最低限の原因食物の除去という考え方がスタンダードとなりました。
そうすることで、さまざまな食品を少しでも食べられることで、子どもの健全な発育・食育につながります。
血液検査や皮膚テストで鶏卵や牛乳などに反応が出ていても、実際に食べて問題がなければ除去する必要はありません。
検査はあくまで食物アレルギーの診断のための参考情報であり、実際に食物アレルギーがあるのか、どの程度の量を食べられるのかを知ることが重要です。
お子さんがある食品を食べた際に出た症状が、アレルギー症状かどうか、判断できない場合やお生まれになってから湿疹が持続していて離乳食の開始が不安・心配な場合など、お気軽にご相談ください。
このような方はご相談ください
- 特定のものを食べたときに、じんましんが出る
- 特定のものを食べたときに、咳やくしゃみ、鼻水が出る
- 特定のものを食べたときに、嘔吐や下痢がある
- 特定のものを食べたときに、口の腫れや喉の痛みがある
- 湿疹がひどく、離乳食の進め方に悩んでいる
アレルギー性鼻炎(花粉症)
アレルギー性鼻炎とは、アレルゲンを吸い込むことで、鼻水や鼻づまり、くしゃみが起こる病気です。
アレルギー性鼻炎にはハウスダスト、ダニなどが原因となる通年性のものと、スギやヒノキなどの花粉が原因となる季節性のものがあります。
基本的にはアレルギー症状を抑える内服薬や点鼻薬を使って治療します。
スギとダニアレルギーだけは、原因となるアレルゲンを継続的に投与してアレルギー反応を抑える舌下免疫療法を行なうことが可能です。もちろん、両方のアレルギーがあるお子さんは併用して治療することもできます。
鼻炎症状が持続し、お困りのお子さんや舌下免疫療法について、少しでもご興味のある方はお気軽にご相談下さい。
参考サイト:舌下免疫療法とは(鳥医薬品HP)
このような方はご相談ください
- 連続してくしゃみが出る
- 無色で粘り気がなくサラサラとした鼻水が出る
- 鼻づまりがある
- (花粉症の場合)目がかゆい、皮膚があれる、頭が重いなど
じんましん
じんましんとは、食べ物やくすり、日光、汗、服と肌の擦れなどの刺激によって、肌に突然発疹が現れ、数時間で跡を残さず消えてしまう皮膚の病気です。赤みや強いかゆみを伴います。
特定の刺激(食物や薬品、植物などのアレルギー、温度変化による刺激、日光や発汗など)が原因・誘因となるじんましんと、直接的な原因がはっきりわからないじんましんがあります。
原因を特定できるじんましんは全体の1~3割ほどで、多くの場合、原因ははっきりわかりません。
なお、じんましんの種類に関わらず、基本的にはアレルギー症状を抑える飲み薬や、症状を和らげる塗り薬を使って治療します。
このような方はご相談ください
- 突然蚊に刺されたような発疹ができた
- 特定の条件で、かゆみのある発疹が出る
- 症状は出るが、数分から1日以内におさまる
気管支喘息
気管支喘息は、ダニやカビなどの吸入アレルゲンを吸い込むことで起こるアレルギー反応により、気道の炎症が続くことによって気道が敏感になり、咳や痰が発作的に出る病気です。
気道の空気の流れが悪くなるため息苦しさを感じ、呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という特徴的な音がします。
しかし実際は「喘息かもしれないね」「気管支が弱いのかな」と診断がつかずに適切な治療がなされていないケースも多くあります。
症状が出たとき(発作時)のおくすりだけでなく、症状が出ないようにするため、一人ひとりの重症度に応じて炎症を抑えるくすり(のみ薬や吸入ステロイド)を選択していきます。
また、気管支喘息はくすりの治療以外にも環境整備(ご自宅の掃除、禁煙、ペット飼育など)や体力作りも大切です。
病気の説明、くすりの使い方、なぜくすりを続けなくてはならないのかなどきちんと説明いたします。
このような方はご相談ください
- 呼吸時にゼーゼー・ヒューヒューという音が出る
- 夜間や早朝、運動時など特定のタイミングで咳き込む
- 花火やタバコの煙を吸い込んだとき、咳き込んだり、息が苦しくなったりする
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が、長期的に続き、良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎のお子さんのお肌は、皮膚のバリア機能 (外からの刺激、乾燥などから体の中を保護する)が低下していたり、皮膚に炎症が起こったりしています。そのため、お子さんがかゆみを感じると、皮膚を掻く→皮膚のバリア機能が低下する→炎症が起こるの悪循環となってしまいます。
アトピー性皮膚炎は、いくつかのタイプに分かれます。
乳幼児期に発症するタイプは、自然に治ってくることが多いのですが、適切に治療をしておかないと、アトピー性皮膚炎を始まりとし、食物アレルギー→アレルギー性鼻炎→気管支喘息と、アレルギー疾患を合併しやすくなる可能性があります。
そのため、きちんと診断、治療することが重要です。
アトピー性皮膚炎の治療は、スキンケア(お肌をきれいに、うるおいのある状態を保つ)、薬物療法(保湿剤、ステロイド外用薬、非ステロイド外用薬、内服・注射薬)、環境整備(肌の悪化の原因になるものをみつけ、取り除く)です。
お子さん一人ひとりに合わせた治療を提供させていただきます。
このような方はご相談ください
- お肌がかさかさ、赤くなりやすい
- よく肌を掻くことがある
- 長期的に症状が続いている
- ひざやひじの曲げるところに湿疹、かゆみがでやすい